真剣勝負 (紅蓮+勾陣/現代)




「真剣勝負だ!」
「その言葉、もらった。後悔するなよ」

望むところだ!と返した紅蓮に、勾陣は口の端を吊り上げた。冷静な時ならばその裏に何か企みが隠されていると気づけたであろうが、頭の天辺まで血が上った今の状態では残念ながら不可能である。
じりじりと睨み合っていた二人だが、いきなり勾陣はくるりと紅蓮に背を向け、すたすたと歩き出した。

「ちょっと待ってろ。逃げるなよ」
「誰が逃げるか。てか、待てコラ、どこ行くつもりだ」

紅蓮の抗議を無視してその場から立ち去った勾陣は、しばらくすると戻ってきた。
手には、何やら細長いものを二つ抱えている。
それを見た瞬間、紅蓮は、本能的にヤバい、と感じた。あれは何だ。
片方からは、とても強力な力を感じる。悪いものではない、むしろ逆に破邪の力を込めたもののようだ。
もう一つはそれとは逆に禍々しいまでの気配を放っていた。相当危険な代物だ。
勾陣は、よりにもよってそちらの邪気を放つほうを紅蓮に手渡した。笑顔で。

「…刀」

よく見れば、ご丁寧にも鍔と鞘が紙縒りのようなものでしっかりと封をされている。
しかも紙縒りからは、安倍家の術の気配がする。
嫌な予感がしつつも、それを眺めていると、かたり、と刀が震えた。

「ちょ、勾!どういうつもりだ!!まさかこれ…」
「そのまさか、だ。かなり前の安倍の陰陽師が封じた妖刀だな。噂によるとかの村正をも凌ぐとか」

明日の天気を語るかのような気楽さでさらりと言い放った勾陣は、すらりと自らの刀を抜いた。
途端、清冽な霊力が放たれる。

「さあ騰蛇、真剣勝負だ」

fin.

真剣「に」勝負しろ、ではなく真剣「で」勝負しろ